行事
潮見先生にご講演をいただきました。
「民法(債権法)改正講演会」報告

前一水会副幹事長広報担当   里井 義昇
一水会研究委員会企画
「民法(債権法)改正講演会」報告

一水会研究委員会委員長 倉橋忍(研究委員 西本良輔)

1 去る平成21年3月23日(月)午後6時30分から午後9時にかけて、京都大学大学院法学研究科教授の潮見佳男先生(以下、「潮見先生」といいます)を講師に迎え、大阪弁護士会館12階にて、一水会研究委員会企画「民法(債権法)改正講演会」が行われました。
2 当日は、一水会研究委員会委員長の倉橋忍会員が開会挨拶で口火を切り、司会進行役の手島将志会員の求めに応じる形で、潮見先生の流麗なお話がスタートしました。
3 前半部分は、「民法改正に向けた議論の動向」というテーマで、“なぜ今民法改正なのか”という、おそらく誰もが疑問を抱くであろう問題について、民法改正の背景や要否、議論の状況を踏まえたお話をいただきました。
  改正の背景や要否については、民法の成熟や現代化、一般市民に分かりやすい法典への修正といったお話もありましたが、諸外国から日本だけが取り残されてしまわないようにしなければならない、という国際化の観点からのお話を繰り返しおっしゃっていたことが印象的でした。
  また、議論の状況については、先生が委員として参加されている「民法(債権法)改正検討委員会」(以下、「検討委員会」といいます)の他にも複数の検討グループがあり、検討委員会は学者の有志が結成した1つのグループにすぎない、というお話もありましたが、検討委員会が民法改正に向けて中心的役割を果たしたいという熱い思いが伺えました。
4 後半部分は、「債務不履行・解除」を中心に、契約の成立、債権の効力、債務不履行全般について、お話をいただきました。
  実は、当日から遡ること11日、他会派で、やはり潮見先生を講師にお迎えした民法改正の講演が行われていました。同講演においては、意思表示や時効といった民法総則といわれる部分から(“債権法”の改正といいましても、債権に関わる総則部分等も改正がなされる予定です、なお念のため)、債権者代位や債権譲渡といった債権保全・回収に至る部分まで、幅広いテーマでお話があったと伺っています。そこで、一水会研究委員会の講演においては、少し趣向を変えて、債務不履行・解除を中心にテーマを絞り、掘り下げてお話いただくこととし、“これを聞けば債務不履行・解除については大丈夫”という講演を目指していた、というのが裏話です。
  検討委員会としては、条文の形で法務省に提案することは予定していないということでしたので、あくまで考え方をご説明いただいたわけです、実際にはそのまま条文として採用されてもよいのではないかと思わせるような精緻な整理がなされており、出席いただいた各会員もイメージを掴みやすかったのではないかと考えています。
5 2時間弱にわたる潮見先生からのお話の後に、今回のテーマと直接関わるか否かを問わずに、各会員からの質問を広く募り、潮見先生にその場でご回答いただく機会をたっぷり設けました。貴重な機会でしたので、一水会研究委委員会としても数多くの質問を用意して機会を伺っていたのですが、ご出席いただいた各会員からの質問が止むことなく、予定していた時間が来てしまいました。一水会研究委員会が用意していた質問はお蔵入りということになってしまいましたが、民法改正に対する各会員の関心の高さが改めて伺えました。
6 最後に、一水会幹事長の檜垣誠次会員の閉会挨拶があり、講演会は無事終了しました。案内にも記載させていただいたとおり、一水会研究委員会では、今後も民法改正に注目し続けることとし、定期的に潮見先生にご講演をお願いする予定にしております。各会員におかれても、今後のご協力の程をよろしくお願いいたします。
以 上

多数の参加を得て、会場は盛況。
ご講演の様子です。
各会員からの質問が止むことはなく、
極めて有意義な講演企画となりました。
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