行事
一水会連続シンポジウム第1回「中小企業への業務拡大戦略」

一水会研究委員会委員長    倉橋忍(研究委員 浜本光浩)
1.一水会連続シンポジウム第1弾「中小企業への業務拡大戦略」は、6月3日午後6時30分の定
 刻に、司会進行役の上原武彦会員の発声で始まりました。
2.研究委員会委員長の倉橋忍会員の開会挨拶の後、大阪弁護士会弁護士業務改革委員会委
 員の高山智行会員と矢野智美会員による基調報告がなされました。
  まず、高山智行会員からは、大阪の中小企業の概況の報告があり、中小企業の弁護士の利用
 割合が低調である等のデータが示されました。
  次に、矢野智美会員からは、日弁連とみずほ総研の調査した「中小企業の弁護士ニーズ全国
 調査報告書」の概要の報告があり、中小企業の弁護士に対する要望等についてのデータが示され
 ました。
3.基調報告の後、大阪弁護士会弁護士業務改革委員会副委員長の田中宏会員をコーディネー
 ターとするパネルディスカッションが行われました。
  パネリストは、大阪商工会議所北・都島・福島支部の参事・経営指導員の吉川均氏、近畿税理
 士会業務対策部副部長(税理士)の新居誠一郎氏、愛知県弁護士会弁護士業務改革委員会委員
(日弁連中小企業プロジェクトチーム)の久野実氏、大阪弁護士会弁護士業務改革委員会副委員
 長の野口大氏、大阪弁護士会総合法律センター運営委員会委員長の畑守人会員の5名でした。
4.まず、吉川均氏は、中小企業からの相談を直に受ける経営相談員のお立場から、相談の傾向
 として、債権回収の相談は依然として多いものの、昨年はフランチャイズ契約や機密保持契約等、
 中小企業の締結する契約の種類が増えてきたことを受けて、契約書の内容に関する相談が多かっ
 たとのご報告があり、また、中小企業の実情として、ー莪環境がシビアになってきたことから、契
 約書の内容チェックの必要が大きくなってきていること、▲螢好管理の意識は相変わらず希薄で、
 問題予防の考えが浸透していないこと、8槎篝罵士による問題対応事例が依然として多いこと
 等のお話がありました。
5.次に、新居誠一郎氏からは、日常的に中小企業の相談を受けることの多い税理士としてのお立
 場から、税理士が中小企業の相談相手として選ばれる理由は、対象企業と実際に接する機会が
 多く、結びつきが強いことであるとのご意見がありました。この新居誠一郎氏の意見を受けて、吉
 川均氏から、税理士は対象企業を良く知っていることが強みであり、弁護士は相談料が分かりにく
 いことや、敷居が高いことが問題ではないかとのご意見がありました。さらに、新居氏からは、顧客
 の中小企業に弁護士を紹介する決め手は、高度の専門性よりも費用の多寡であるとの補足意見
 もありました。
6.このようなご意見を受けて、法律相談の窓口である大阪弁護士会総合法律相談センターの立
 場から、畑守人会員からは、中小企業をも配慮した制度として、平成20年6月にスタートした知財
 相談や労働相談、顧問弁護士紹介、講師派遣等が置かれているが、残念ながら目覚しい成果は
 得られていないことの説明がありました。
7.また、弁護士業務拡大を目指す弁護士業務改革委員会の立場から、野口大氏からは、大阪府
 下の商工会議所に働きかけて法律講演会を実施してきていること、その実施にあたっては、複数
 の弁護士を登場させる形態で行うことや、講演会終了後にビジネス交流会を開催することが有効
 であるとのご意見がありました。
8.次に、久野実氏からは、愛知県弁護士会が、愛知県商工会連合会と協力して創設した「地域弁
 護士制度」のご紹介がありました。この制度の最大の特色として、弁護士が直接対象となる中小企
 業の地元商工会に出向き法律相談を受けることが挙げられ、この結果、法律相談は弁護士会での
 相談案件の3倍にも上る状況になっているとのことでした。このご報告に関連して、野口大氏から、
 商工会議所等との協力の下、大阪弁護士会業務改革委員会で実施を計画している中小企業向け
 法律相談「弁護士コール2008」(仮称)についての説明がなされました。 
9.弁護士会と他の機関との協力に関する報告として、会場の安若多加志会員から、国の施策で
 ある事業承継、事業再生、地域力連携拠点の概要の説明があった後、パネリスト各氏によるフリー
 トークがありました。フリートークの中で出てきた意見としては、自治会や商店街等、地域に密着し
 た場所に弁護士が積極的に出向き、顧客となりうる層との接点を作っていくよう努めるべきであるこ
 と、相談料や事件処理実績を明確に示すホームページ作りを心がける等、相談しやすい環境を整
 えることがありました。
 また、業務拡大に弁護士会が取り組むことによる弊害として言われる民業圧迫や弁護士会会員
 間の公平性についても議論が及び、畑守人会員からは、弁護士会の業務拡大への取り組みにより
 法律相談そのものが増加することから民業圧迫の批判は当たらないことや、公平性については機
 会の平等さえ確保されていれば問題ないのではないかとの意見が出されました。
10.パネルディスカッションに関する会場からの意見を受けた後、幹事長の檜垣誠次会員の閉会
 挨拶があり、シンポジウムは無事終了しました。
  白熱の議論により、シンポジウムは予定時間の午後8時30分をオーバーし、弁護士会館閉館
 時刻の午後9時に終了しましたが、多くの参加者は最後まで残っておられました。このことは、今回
 のシンポジウムが非常に実り多いものであったことの表れであると考えます。
会場は超満員。他会派の皆さんにも多数参加を頂きました。
大阪商工会議所経営相談員の吉川均さん、近畿税理士会の新居誠一郎さんをはじめ、5名のパネリスト。コーディネーターは田中宏会員です。
左:畑 守人会員   右:愛知県弁護士会 久野実弁護士 
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